ナナカマド、キクを瓶花(へいか)に直立型に生けました。ナナカマドは今の季節は新緑が瑞々しいですが、秋には鮮やかな赤に紅葉します。 主枝を良い位置に安定させるには、下の端に横木を固定するのはもちろんですが、ナナカマド自体かなり矯めが利きますので、安定位置に収まることを念頭に置いて弯曲させることがコツです。葉が表を向くように枝の方向を工夫します。副枝のナナカマドも葉の表が向くことと、主枝の葉と立体的にバランスする位置を取ることが大事です。鬱蒼と重なる葉は落としてすっきりさせます。キクは客枝1本と中間枝2本、長すぎないように生けると綺麗です。キクの根元は折り止めしました(向こう折り)。枝の向きを調整するときは、思い切って引いてから方向を見極めて押し戻すとうまく行きます。ナナカマドの凛々しい立ち姿、ナナカマドの新緑とキクの深緑のコントラストが清々しい瓶花となりました。

瓶花のあとは盛り花に生け直しました。ナナカマド2本、キク3本の極めてシンプルな構成ですので、1本1本がとても大事です。主枝のナナカマドに中間枝のキクを近づけて両者が寄り添って心通うようにし、また一番前のキクを前に倒して剣山を隠しますと、立体感を持った気品ある作品となりました。




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