ショウブ(=ハナショウブ)、キク、ナルコユリを「直立型」に生けました。ショウブは3本で、主枝にショウブを1本、主枝の右に添えて1本、さらに主枝のやや前方に1本。主枝のショウブの位置は後ろに行きすぎないことがコツ。ショウブは真っ直ぐな立ち姿が綺麗なので、主枝はもちろん添え枝のショウブもあまり傾けないようにします(3本が一体となっているイメージです)。また今回、ショウブはいずれも一番外の「萼(がく)」が正面を向く、「表花」の向きに生けました。自然の中で生えているときを模倣するようにショウブの花にショウブの葉を添えます。よく見るとショウブの葉の先端が左右非対称な鉤型になっているので、隣り合う葉の先端の鉤と鉤が向き合うように配置すると、細かく神経を行き届かせていることを示せます。3本のナルコユリがありますが、1本は副枝とし、1本は客枝のキクに前方から寄り添わせます。残り1本のナルコユリがポイントで、根元は右後方に置いて、先端を前方真ん中に入れ込んで、しかも葉の表が右を向いており、これが作品全体に緊張感を与えています。ナルコユリに小さな髭のような萼がありますが、これは花の咲いていた名残なので、除去してすっきりさせます。2本のキクはショウブとナルコユリの間の空間に置きますが、キクの1本は客枝、もう1本は中間枝ということになります。キクの葉が茂っているので間引いてすっきりさせます。全体を改めて見ると、主枝がショウブ、副枝がナルコユリ、客枝がキクということになります(客枝はキクとナルコユリが一体化しているイメージですね)。ショウブについては3本を1群として立てて、「様式」に準拠して生けるという高度なテクニックになります。ショウブの花と葉の高さのバランス、ナルコユリの形と方向のメリハリ、これらがハーモニーを奏でる会心の作となりました。 お師匠様方のご指導のおかげです。




































ショウブ(=ハナショウブ)が開花し、華やかな彩りとなりました。生命力ですね。キク、ナルコユリとのコントラストが見事です。







小原流のページに戻る次の写真