ガクアジサイ、カーネーション、菜の花を「ならぶかたち」に
生けました。主枝にガクアジサイ、また副枝と
その添え枝にもガクアジサイを用います。
「ならぶかたち」で用いる花器は幅が広い代わりに奥行きが
狭いですが、その狭い奥行きの中に、前後のメリハリを
つけて、奥行き感を演出します。具体的には主枝は
やや奥に(やや右を向かせて)、副枝と添え枝は
やや手前に配置します。客枝に菜の花、そして実は客枝の
すぐ左にも背の低い菜の花を添えて足下を隠しています。
中央にはボリュームのある菜の花を少し前傾させて
生けています。その背後にカーネーションを置いて顔を
覗かせます。副枝のすぐ右にも菜の花。これらの菜の花は
高低のメリハリをつけています。もう1本のカーネーションの
花を主枝のガクアジサイと客枝の菜の花の合間にぽっかり
空いたスペースに持ってきます。このカーネーションの軸は
前傾させますが、同時に、主枝がやや左を向いているので、
カーネーションと主枝とが向き合った、語り合う姿勢を形作る
ことができます。ここでカーネーションの花が縮こまって
いたので、手でほぐして形を整えて、暖かい息をふっと
吹き込むと、魔法のように開き、表情が華やかになります。
「ならぶかたち」ならではの幅広く奥行き狭いスペースに、
前後と高低のメリハリをつけて立体感を創り出して、
その中で花同士を語り合わせ、リズム感を表現します。
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